2021-09-26

あらすじ

投資信託会社の社長であるフォテスキュー氏がいちいの実の毒で殺害される。 不思議なことにポケットにはライ麦が詰められていた。 そこから、次々と殺人事件が起きる。 被害者の1人であるメイドがセント・メアリー・ミード村の出身であり、マープルさんが屋敷にやってくる。 マープルさんの気付きで、連続した事件はマザーグースに沿って行われたとわかるが…

ストーリー構成

フォテスキュー氏の殺人事件から始まり、自重聴取とキャラクターの紹介をしつつ、次々に殺人が起きていく。 中盤でマープルさんがようやく登場。マープルさんは、一連の事件はマザーグースに沿って行われていることに気付く。

感想

クリスティ作品の中でも上位で好きな作品。新訳が出ていたので読み返しました。 マープルさんが登場するシリーズ。ポアロも好きだが個人的にマープルさん派。 マープルさんの鋭い推理は相変わらずかっこよかった。 ラストのオチの演出はかっこいいので是非読んでもらいたい。

この時代のミステリーは、犯人のその後のような後日談などがなく、 あっさり終わるのが良いですね。

メモ

登場したマザーグースは、「Sing a Song of Sixpence(6ペンスの歌を歌おう)」というもの。 パイに24羽のクロツグミを詰めて焼くという不思議な歌詞。

ストーリーメモ(ネタバレあり)

投資信託会社の社長であるフォテスキュー氏がオフィスの中で お茶を飲んだあとに苦しみだし、そのまま亡くなってしまった。

ニール警部の見立てでは、毒の症状が出るまでの速さから、 いちいの実の毒であるタキシンが用いられたと思われる。 また、妙なことにフォテスキュー氏のポケットの中からハンカチや鍵の他にライ麦が見つかった。

ニール警部は、関係者に事情聴取する。 最近のフォテスキュー氏は散財しがちで以前と違った様子だった。 フォテスキュー氏の長男であるパーシヴァルは、これまで経営の良い相談相手だったが、最近喧嘩をしていた。 それにより、フォテスキュー氏の次男であるランスを連れ戻そうとしていた。 ランスは以前に小切手を偽装しトラブルを起こし、フォテスキュー氏に勘当され海外で生活していた。 フォテスキュー氏の2番目の妻であるアデルは、フォテスキュー氏とは歳の差があり財産目当ての様子で、 最近では若い男友達であるデュボアとよく遊びに行っていた。

メイドのグラディスがいなくなる。 最近、グラディスはとある男性と親しくしているらしく、 遊びに行ったのだろうと使用人達が予想する。

フォテスキュー氏の息子であるランスが屋敷に帰ってきた。 そんな中、客間でお茶を飲んでいたアデルが青酸カリで殺害されているのが発見される。 さらに、その夜、いなくなっていたグラディスが外で絞殺されているのが発見される。


マープルさんが、フォテスキュー氏の事件を新聞で見て屋敷にやってくる。 メイドのグラディスはセント・メアリー・ミード村の出身であった。

マープルさんは、マザーグースに沿って事件が起きていることに気付く。 このマザーグースにはクロツグミが出てくる。 マープルさんの話しにニール警部も納得し、調査する。

事件の少し前にフォテスキュー氏のデスクにクロツグミの死骸が置いてある事件があった。 また、25年前、フォテスキュー氏がかつて経営しようとした鉱山がクロツグミ炭鉱と呼ばれていた。 マッケンジーという男と共同で経営しようとしたが、鉱山には価値はないとして手を引いた。 その後、マッケンジーは亡くなり、マッケンジーの妻が騙されたと言って屋敷までやってきたことがあった。 子供2人を連れており、子供たちに復習させるようなことを言っていた。

ニール警部はマッケンジー夫人に会う。息子は戦死し、娘は縁を切ったという。

フォテスキュー氏の屋敷で、情報収集するマープルさん。 ニール警部から聞いた情報と合わせて推理する。 マープルはニール警部に自分の推理を説明する。

後の捜査は警察に任せて家に帰るマープルさん。 家に着いたマープルは、グラディスからの手紙が届いているのに気付く。 手紙にはマープルさんの推理どおり、グラディスの行ったことが書いてあった。 手紙を見て、グラディスのために犯人を捕まえられた勝利と、悲しみや怒りが湧いてくる。

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