あらすじ
バントリー氏の書斎で、身元不明の若い女の死体が発見される。 バントリー氏と夫人はこの女性について見覚えはないという。 バントリー夫人は、友人であるマープルさんに声をかけ、共に事件を調査することに。
被害者は、富豪であるジェファースン氏が近々養子にしようとしていた少女であった。 ジェファースン氏の実子は事故ですでに他界しており、義息子と義娘と暮らしていた。 遺産相続が動機のようだが、なぜ関係のないバントリー氏の書斎で死んでいたのか…
さらに、全焼した車が発見され、その中から焼け焦げた死体が発見される。 2つの事件には一見関係はなさそうだが、どう結びつくのか…
感想
バラバラのように見えていた謎がマープルさんによってうまく繋がれた物語だった。 マープル節が強く感じられた作品。マープルさんの些細な言葉や雑談などが伏線になっている。
ミステリーというと、トリックや謎解きという印象が強い。 クリスティの場合、当然トリックや謎解き要素もしっかり面白いが、物語に引き込まれる感覚が強い。
登場人物の背景やストーリーがしっかりしてるってことなのだろうか。
ストーリーメモ(ネタバレあり)
バントリー氏の書斎で身元不明の若い女性の死体が発見される。 バントリー氏も夫人もこの女性について見覚えはないという。 バントリー夫人は、友人であるマープルさんに犯人探しや謎解きを協力してほしいと依頼する。
書斎で発見された女性は、この辺りには住んでいないような派手な服装や髪型であった。 そこで、マープルさんとバントリー夫人はバジル・ブレイクを思い出した。 彼のコテージには、派手な格好をした若者が集まり、よくパーティを催しているのだった。 そのため、書斎で発見されたのは、そのパーティに参加していた女性だと二人は推測した。 時を同じくして、バントリー氏と警察であるメルチェット大佐も同じ考えに至る。
警察署にいたメルチェット大佐のものへ、隣の州で若い女性がホテルから失踪し、 行方不明であるという電話が入る。名前はルビー・キーン。 彼女の知り合いであるジョージー(ジョセフィン・ターナー)に、 書斎で発見された死体を確認してもらったところ、ルビー本人であると言う。
彼女によると、ルビーはターナーとともにホテルでダンス・ホステスとして働いていたと言う。 自身が怪我でダンスができなくなり、その代わりに知り合いであったルビーをホテルに呼び、共に働いていたのであった。
そのホテルでジェファースン氏という富豪がルビーを気に入っており、娘の用にかわいがっていた。 ルビーがいなくなった夜、ルビーがいないことに気付いたのもジェファースン氏であった。 次の朝になってもルビーが帰ってこないことから警察に連絡した。
メルチェット大佐は、ジェファースン氏に会いに行く。 そこで、ルビーを養子にする契約が進んでいたこと、 メルチェット氏の義息子、義娘はルビーをあまり快く思っていなかったことがわかった。 遺産については、息子や娘が結婚する際にほとんどを渡していた。 また、ルビーを養子にすることはメルチェット氏の財産から行われ、 ルビーがいなくなることで息子や娘に大きな遺産が残ることはないことがわかった。
さらに、ホテル客でルビーがいなくなる直前に会話をしたというバーレット青年にも話しを聞く。 彼は、ホテルの広場に車を停めていたが、気付いたら無くなっていたという。
そして、その後バーレットの車が全焼した状態で発見された。 中からは黒焦げの死体が見つかった。
ジェファースン氏は、元警視総監であるサー・ヘンリーに会いに行く。 彼は事件のあったバントリー夫妻とも知り合いで、足が不自由な自分の代わりに事件を捜査してほしいと頼む。 そこで、サー・ヘンリーはジェファースン氏にマープルさんを紹介する。
全焼した車とその死体についての捜査が進み、残された靴と隣の州の行方不明の情報から、 死体はパメラという少女であることがわかった。
一方、執事のエドワーズに話しを聞くサー・ヘンリー。 エドワーズは、ルビーについてメルチェット氏の思っていたような娘ではなく、お金目当てであったと考えている。 この話を聞いたマープルさんも同意見である。
車で焼死体として見つかったパメラと関係のあった少女を警察所に集め話しを聞くことに。 マープルも一緒に話しを聞くことに。 少女の1人の証言で、パメラは買い物に行ったのではなく、 映画のオーディションと信じて出かけたということがわかった。
マープルさんは一度セント・メアリー・ミード村に戻る。 そこで、バジル・ブレイクの家に向かう。バジルはおらず、ダイナという女性がいた。 マープルはダイナに、名乗っているのは偽名であること、バジル・ブレイクとは結婚していることを指摘する。 そうこうしているうちにバジルが帰宅。
バジルとダイナに推理をするマープルさん。 バジルとダイナが喧嘩し、バジルが1人で家に帰ったことがあった。 その時バジルは家でルビーの死体を発見し、その死体をバントリー氏の書斎に運んだという推理である。
バジルはそれを認める。タイミングよく警察がやってきてバジルの身柄を拘束する。 マープルさんは、バジルがやったとは思っていない。
マープルさんは、サー・ヘンリーなどと協力して罠をはる。 犯人はまんまと寝ている、ジェファースン氏に襲いかかる。
どうやって事件を解決できたのか、マープルさんがみんなに説明する。
人の証言をそのまま鵜呑みにしてはならないことを念押しした後で、 バントリー氏の書斎で身元不明の若い女性はルビーではなかったこと述べる。
この女性がルビーと判断されたのは、ジョージーの証言だけであった。 ジョージのこの証言は虚で、書斎にあった死体はパメラであった。 なぜ書斎にあったのかは、バジルが自身の家にあった死体を書斎に動かしたから。
マープルさんがジョージーを疑ったのは、ジョージーとジェファースン氏の 義息子であるマークの関係からであった。 ジェファースン氏には隠していたが、ジョージーとマークは1年前に結婚していた。
ジョージーはジェファースン氏の遺産が目当てだった。 しかし、ジョージの呼び寄せたルビーがジェファースン氏の遺産を引き継ぐことになったのが動機であった。
マークは映画監督としてパメラに近づき、ジョージーがパメラを殺害。 バジルに罪を着せるために彼の家にパメラの死体を置いたのだった。 パメラ殺害の後、ルビーを殺害し車に乗せ火を付けた。
これに気付いたマープルさんは、確実な証拠を得るため、犯人に罠を仕掛けた。 それは、ジェファースン氏に遺言を書き換えるような演技をしてもらうようお願いし、 犯人が行動を起こしたところで、犯人を捕まえるというものだった。
遺言が書き換えられることで、ジョージーとマークは行動を起こす必要があった。 これにより、ジョージーはまんまとジェファースン氏が寝ているもとへ 襲いかかるという罠にかかってしまったのであった。
事件解決後、ジェファースン氏の義理の娘であるアデレートが婚約を発表し、 それまでアデレートと仲良くしていた別の男性が肩透かしを食らいオチ。