あらすじ
白骨鬼という江戸川乱歩の未発表小説が発見される。 白骨鬼の小説の中で、江戸川乱歩は1人で紀州の白浜に来ていた。 そこにある人気のない崖で滑り落ちそうになっていたところを、とある青年に助けられる。 その後、宿に泊まると、そこで不思議な青年の噂を聞く。その青年は、先程、自らを助けてくれた青年であった。 その青年に興味を持ち始めたところで、その青年が自殺してしまう。 その青年には、そっくりな双子の弟がいた。その少年は、本当に自殺したのか、 もしくは双子と入れ替わり殺されたのか。 双子の入れ替えトリックが楽しめるストーリーになっている。
一方、白骨鬼の小説の外では、推理作家である細見辰時がある文芸誌で白骨鬼という小説を見かけ衝撃を受ける。 細身は、デビュー作からのシリーズで成功を納めた本格ミステリー作家。その後は良い作品が書けず引退している。 出版社の知り合いを通じて、細身は白骨鬼の著者と面会することとなった。 白骨鬼の著者は小説家として新人で、他に売れた作品があるわけでもない。 そのまま出版してもあまり売れないだろうと、細身は考えた。 これがもったいないと思った細身は自分の名前で出版しようとするが….
ストーリー構成
白骨鬼の小説と現在が絡み合い進行する作中作となっている。
ストーリーの前半と中盤では白骨鬼の物語が進行する。 終盤に掛けて、現代と白骨鬼の繋がりが紐解かれることとなる。
最後の畳み込みで白骨鬼と現在の様子が絡みあうところは面白かった。
感想
全体的にテンポもよくて読みやすかった。 江戸川乱歩好きとしては、散りばめられた江戸川乱歩ネタが面白かった。 作中作の形式が好きなのでいろいろ突き刺さった。
トリックについて
双子の入れ替えトリック。割とシンプルだった。 メインの謎は、白骨鬼と細身の関係性であるが、 これが最後に収束していく様子が美しかった。