あらすじ
主人公の青年は、お金目的で資産家のドロシィの付き合っていた。 彼女は妊娠しており、結婚を迫られる。 主人公は、自身の野心のため彼女を自殺に見せかけ殺害する計画を思いつく。
構成
3部からなる構成。1部は主人公とドロシィ。 2部はドロシィの姉エレンが犯人を探す。 3部でドロシィとエレンの姉であるマリアンがメインのパートとなる。
それぞれのパートで、視点が変わっており、いつの間にか叙述トリックに引き込まれていく。
感想
3部からなる構成で、2部から一気に引き込まれた。 読みやすく、序盤から中盤もだれることなく、一気に読めた。
1部では、主人公視点、つまり犯人視点で物語が進むので、読者的には犯人と犯行の様子がわかる。 そのため、後半は倒叙ミステリー的な展開で話が進むのかと思っていたが、 2部で犯人を探すという叙述トリックと倒叙ミステリーを混ぜたような感じで面白かった。
パートごとに視点が変わるのがうまくできており、 この叙述トリックにより何度も騙されることになる。 主人公の名前が途中まで伏せられているのも騙されるポイント。
ストーリーメモ(ネタバレあり)
第1部
主人公は、お金を目的として、資産家の令嬢のドロシイと付き合っていた。二人は同じ大学に通う。 あるとき、ドロシイの妊娠が発覚。ドロシイの父親は厳格で、二人の関係を許さないことから、 二人で大学をやめて駆け落ちをしようと主人公を説得。駆け落ちをすると、目的のお金も手に入らず、貧乏暮らしになることから、 主人公はドロシイの殺害を計画する。
第2部
ドロシイの自殺を怪しんだ、姉のエレンが犯人を探すパート。 ドロシイが妊娠していたことから、その彼氏を探すことに。 エレンはドロシイの通っていた大学に向かい、犯人候補を3人に絞り込み一人一人調べていく。
読者は、ここで第1部では、ドロシイとその彼氏の普段の様子や犯行の様子は知ることができても、 その主人公の名前が明らかになっていないことに気付く。
エレンが犯人候補を絞っていき犯人が判明する….というところ、第2部の終盤で読者は騙されることになる。
第3部
第3部は、ドロシイ、エレンの長女であるマリオンがメインのパート。 第2部で明らかになった犯人の犯行の証拠を集め、犯人を追い詰めていく。
個人的には、犯人の追い詰め方は少しすっきりしなかった感じはある。 (探偵が出てくるわけではなく、素人が追い詰めていく展開なのでしょうがないといえばしょうがないが)