あらすじ
主人公のテッドは、空港で、リリーという女性に出会う。 テッドはリリーと世間話をしている中で妻であるミランダが不倫をしていることを話す。 リリーはその話を聞くと、テッドがミランダと不倫相手の殺害するつもりがあるなら手伝うという。 テッドはリリーの魅力や現状の不満もありミランダの殺害を決意する。 後日、テッドとリリーは秘密裏に再び落ち合い、殺害の計画を立てる。
いつのまにかテッドはリリーに惹かれていくが、リリーとは一体何者なのか? また、殺害計画はうまくいくのか?
構成
3部からなる構成。各章でメインとなる登場人物それぞれの一人称で描かれるため、 それぞれの思惑や過去などが読者に明かされていく。
第1部では、テッドとリリーの物語が交互に進む。 テッドについては、妻のミランダやその不倫相手など、テッドについての話が進む。 一方、リリーについては幼い頃や学生時代の話が明かされ、過去にいくつか計画的な殺人を犯している。
第2部では、リリーとミランダの目線で物語が進んでいく。 テッドとリリー、ミランダの関係が明かされ、ミランダとリリーの物語が交互に明かされていく。 第3部では、リリーと刑事であるキンボリーの話が進んでいく。
感想
ストーリー構成が面白かった。不倫された夫が妻の殺害を計画するという一見シンプルな話だが、 主な登場人物の一人称でストーリーが進み、徐々に絡み合い展開していく様子に引き込まれる。
犯人や犯人を追い詰める人物は読者には明かされる倒叙ミステリー的な展開で、 どう追い詰められるのかが楽しめる。それを含めてラストのオチは良かった。
パート毎に、引きつけることが起きるので最後までだれることなく読み進めることができた。 1部では、ミランダが浮気しているのは事実だが、話合えば解決しそうにも思えるし、 テッドがリリーによりうまく誘導されているのようにも思える。
2部以降で明かされる、テッドとリリーの関係、リリーとミランダの関係など、リリーの正体に驚かされる。
ストーリーメモ
実業家のテッドは、空港のバーでリリーと名乗る女性と知り合う。 テッドは妻であるミランダが他の男と不倫しているという話をリリーにする。 リリーはテッドが妻とその相手を殺すならそれを手伝うという。 テッドはリリーに協力を頼む。 飛行機が到着し、次に会う約束をして二人は別れた。
リリーは幼少期に家に居候していた画家に、性的な嫌がらせを受けていた。 リリーはその画家を家の近くの井戸に落とし殺してしまう。
テッドとミランダは、建築業者に依頼し家を建てている。 ミランダは建築関係の大学の修士号を持っており、建築業者のブラッドとともに 家の建築に携わっている。 テッドは仕事柄忙しく家の建築には関われない。 ミランダは建築中の家の近くに泊まりこみ、ブラッドと不倫をしていた。 テッドとリリーは、秘密裏に落合、殺害の計画を進める。
リリーの大学生の頃の話。 エリックという恋人ができる。 しかし、リリーはエリックがフェイスという同級生とキスしているのを目撃してしまう。 リリーはピーナッツのアレルギーを利用し、エリックを殺害する。
ブラッドがテッドの家を訪れる。 テッドがミランダの浮気に気づいていることに、ブラッドは気づいていた。 二人は言い争いになる。
リリーは大学卒業後に、かつてエリックを奪われたフェイスと空港でたまたま出くわした。 フェイスは、ミランダと名乗り、フェイスはミドルネームであるという。 そのフェイスと一緒にいたのがテッドであった。
リリーはその後再びテッドと出会う。(これが物語の冒頭部分となる。) テッドから、ミランダを殺したいという話を聞き、ミランダに対し恨みを持っていたリリーは その殺人の計画に協力することにしたのであった。
家で新聞を読んでいたリリーは、新聞にテッドが殺された記事を見つける。 ミランダに復讐するためにテッドを利用したリリーだったが、 いつの間にかテッドに惹かれており、悲しむリリー。 リリーは、ミランダは財産を自分のものにするために、ブラッドを利用してテッドを殺す計画だったのだと予想した。 リリーは、ミランダに対する復讐心を燃やす。
テッドを殺したのは、ミランダの浮気相手であるブラッドであった。 ミランダとブラッドは警察に事情聴取に会ったときのために、口裏を合わせる。
ブラッドに会いにいくリリー。バーでブラッドに出会い、 自分はブラッドがテッドを殺したことを知っているし、それがミランダの作戦であることも知っていると伝える。
リリーはブラッドを説得し、ミランダを殺す計画を立てていた。 ブラッドは、リリーに出会ったことやその内容をミランダに伝える。
建築途中のミランダの家で待つリリー。そこへ予定通りミランダとブラッドがやってくる。 ミランダとリリーの邂逅。ブラッドがスパナを持ち二人に近く。ブラッドはそのスパナをミランダへ振り下ろす。
リリーはブラッドの説得に成功し、リリーの考えたミランダを嵌めるための作戦をミランダに伝えていたのだった。 ミランダをそのままに、リリーとブラッドは、ブラッドの乗ってきたトラックに乗り込み一息つく。 リリーの進めるお酒を飲むブラッド。お酒には睡眠薬が含まれており、リリーは眠ったブラッドを絞殺する。
リリーはトラックを運転し、実家に帰る。
刑事のキンドリーは、テッドやミランダ、ブラッドとリリーの関係を怪しむ。 リリーは、かつて画家を落として殺した井戸に、ブラッドの死体を投げ込む。 リリーの父親は、以前に事故を引き起こし刑務所にいたのだが、出所することになった。 迎えにいくリリー。
単独で捜査を続けるキンドリー。リリーを追い詰めるが、リリーにナイフで刺されてしまう。 リリーの証言により、キンドリーはストーカーめいた恐怖をリリーに与えたこと、 単独での捜査であったことにより捜査の続行ができなくなった。 キンドリーは一命を取り留めたものの、キンドリーは停職処分となり、 二度と警察として働けないだろうことを弁護士から聞かされるリリー。 警察の手からは逃れたことになる。 最後に、弁護士は父親から手紙を預かったといい、手紙をリリーに渡す。 手紙には、リリーを励ますことが書いてあり、追伸に家が買い取られ井戸が掘り起こされることが書いてあった。